基礎知識

ビットコイン(BTC)のハッシュレートについて

ビットコイン(BTC)について理解を深めていくと、「ハッシュレート」という言葉に出会います。ハッシュレートはビットコイン(BTC)の価格や市場の動向を予測する際に注目される指標で、ビットコイン(BTC)の取引をする人は知っておきたいキーワードです。そこで今回は、ビットコイン(BTC)のハッシュレートとはどのような指標で、ビットコイン(BTC)のマーケットとどのような関係があるのか、そして、ハッシュレートの見方や推移など、重要なポイントをご紹介します。

ハッシュレート(Hash Rate)は、ビットコイン(BTC)のマイニング(採掘)速度を示した数値です。マイニングをするコンピュータの計算力などを示す数値として使われていますが、ビットコイン(BTC)の価格を予想する指標としても利用されることもあります。

ビットコイン(BTC)とマイニングについて

円やドル、ユーロなどの法定通貨は、それぞれの国や地域の中央銀行が法定通貨を管理しています。一方、ビットコイン(BTC)はどの国や地域にも属さない無国籍の資産で、中央銀行のようにビットコイン(BTC)を管理する主体が存在しません。そのかわり、ブロックチェーン技術によって、取引の内容や安全性を世界中のユーザーが監視し合う仕組みになっています。

その流通量についても同様で、円やドルなどの法定通貨はそれぞれの中央銀行が流通量を調整しています。一方、ビットコイン(BTC)は中央銀行のような管理者は存在しませんが、マイニング(採掘)によって新しいビットコイン(BTC)が毎日のように発行されています。

ハッシュレートの単位について

ハッシュレートとは、マイニングをする際の1秒あたりの計算力、採掘速度のことです。単位は hash/s (セカンド)で、「毎秒 ◯ ハッシュの計算ができる」ことを意味します。ハッシュパワーが高いほどマイニングマシンの性能は高く、1 秒間に多くのデータを処理できます。例えばビットコインの場合、ハッシュレートは「PoW で利用するハッシュ(値)計算を 1 秒間に何回くり返すか」を示す指標です。

ハッシュレートは K (キロ)、M (メガ)、G (ギガ)や T (テラ)などの単位と合わせて使います。キロは 1000、メガは 100 万、ギガは 10 億、テラは 1 兆です。例えば、1Mhash/s の場合、毎秒 100 万回のハッシュ計算ができることを表します。

ビットコインのハッシュレートは 2016 年から 2018 年秋までは年々上昇していましたが、暗号資産(仮想通貨)相場の暴落局面のタイミングに合わせ、ハッシュレートも下落傾向が続きました。このような時期には企業がマイニングビジネスからの撤退を余儀なくされることがあります。


単位記号 読み方 値(基準:1 H/s) 説明例
H/s ハッシュ/秒 1 基本単位
kH/s キロハッシュ/秒 1,000 H/s 1千ハッシュ/秒
MH/s メガハッシュ/秒 1,000,000 H/s 100万ハッシュ/秒
GH/s ギガハッシュ/秒 1,000,000,000 H/s 10億ハッシュ/秒
TH/s テラハッシュ/秒 1,000,000,000,000 H/s 1兆ハッシュ/秒(= 1T)
PH/s ペタハッシュ/秒 1,000,000,000,000,000 H/s 1000兆ハッシュ/秒(= 1,000 TH/s)
EH/s エクサハッシュ/秒 1,000,000,000,000,000,000 H/s 100万兆ハッシュ/秒(= 1,000 PH/s)
ZH/s ゼタハッシュ/秒 1,000,000,000,000,000,000,000 H/s 10億兆ハッシュ/秒(= 1,000 EH/s)
YH/s ヨタハッシュ/秒 1,000,000,000,000,000,000,000,000 H/s 1兆兆ハッシュ/秒(= 1,000 ZH/s)

ハッシュレート イメージ・用途
100 TH/s 最新の個人用マイニング機(Antminer S19など)の性能範囲
1 PH/s 小規模マイニングファーム(10台程度の高性能機)
100 PH/s 中規模マイニングファーム(数百台規模)
1 EH/s 大規模企業・国レベルのマイニングファーム(万台規模)
600 EH/s 超 2025年7月現在のBitcoinネットワーク全体の平均ハッシュレート水準(参考値)

補足(計算例)

  • 1 PH/s = 1,000 TH/s

  • 1 EH/s = 1,000 PH/s

  • つまり、1 EH/s = 1,000,000 TH/s

 

ブロックチェーン技術とマイニングの仕組みについて

ハッシュレートを理解するには、ビットコイン(BTC)を管理するブロックチェーン技術と、マイニングの仕組みも理解しておく必要があります。

ビットコイン(BTC)の個々の取引は「トランザクション」と呼ばれ、すべてのトランザクションはブロックチェーン上に暗号化して書き込まれています。このとき、トランザクションが保管されているのは「ブロック」と呼ばれるデータの取引台帳で、関連するブロックがチェーンのようにつながっている様子から「ブロックチェーン」と呼ばれています。

ビットコイン(BTC)のブロックは、約10分に一つのペースで生成されています。このブロックにトランザクションを書き込んでいくのが、マイニングに参加している「マイナー」たちで、マイナーには新しく発行されるビットコイン(BTC)で報酬が支払われます。

マイニングの報酬は現時点(2019年 3月)で、一つのブロックごとに12.5BTCが支払われています。ビットコイン(BTC)は約10分に一つのブロックが生成されることから、もしも、1BTCが40万円なら10分間で500万円、1BTCが70万円なら10分間で875万円という高額な報酬をマイナーは受け取ることができます。

このように、魅力的なマイニング報酬を得るため、世界中からたくさんのマイナーがマイニングに参加していますが、報酬を受け取るのは簡単ではありません。その理由は、ビットコイン(BTC)には「仕事量が最も良いマイナーほど報酬を得られる可能性が高い」という報酬ルール「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」があるからです。

PoWでは、マイナーにブロック生成に必要な数値「ナンス(nance)」を見つけるという難解な課題を与え、その回答をいち早く見つけたマイナーに報酬を与えています。これにより、「マイニングに成功したマイナー=高い計算能力を持っているマイナー」だけがブロックにトランザクションを書き込む作業を行い、その結果としてビットコイン(BTC)の取引の承認スピードが増し、信頼度が高まる仕組みになっています。